カードゲームと確率の徹底研究【デュエルリンクス】

こんにちは!Temaです。(Twitter : @falmase)

今回は「カードゲームと確率」についての記事です。前回のヴェンデットの記事で使っていた確率表についても紹介させて頂きます。確率表は私が作った物ですが、ご自由に使用して頂いて問題ありません。ブログ等へ使用される方はこちらの記事を引用して頂けると嬉しいです!

↓↓前回の記事↓↓

ヴェンデット徹底研究

初手率早見表その1

初手率早見表その2


リンクスTwitter界を嗜む方なら「さくっきーbot」の存在をご存知かもしれません。闇団さん所属のトライスさんにより開発されたLINE専用のbotですが、「初手」と打つと確率表を呼び出せる機能を備えています。他にも色々な機能を備えていますので、興味のある方は是非ご活用ください!

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さくっきーbot

この記事は下記の構成で進めていきます。


❶ 確率計算に意味はあるのか?

❷ カードゲームへ確率を応用する

❸ 確率表の紹介

まとめ

おまけ

❹ 計算式の解説




それではさっそく本題へ移ります(/・ω・)/

❶ 確率計算に意味はあるのか?

一定の割合で「結局は運でしょ?カードゲームに確率計算の意味あるの?」とおっしゃる方が居ます。「結局は運」という部分は間違いありませんが、以下を例に少し考えて頂きたいです。


~ くじ引き ~

・箱A:100本中当たりが3本

・箱B:100本中当たりが5本

箱Aに挑戦して当たりを引く人は3人

箱Bに挑戦して当たりを引く人は5人


確率計算に意味がないと感じる方は、箱Bに挑戦して外れた95人側の立場から箱Aに挑戦して当てた3人を見る気持ちの方が多いです。

本当に箱Bに挑戦することに意味がないでしょうか?

最終的に結果を決めるのは運であることに間違いはありませんが、当たりを引く可能性を高めるためにどちらの箱がより良いかを選択する、「確率計算に基づく意思決定」に意味がないと自分は思いません。

また、箱Bに挑戦し続ける人は箱Aを引き続ける人よりも成功する回数が多くなります

箱Aに100回挑戦して当たる回数は3回

箱Bに100回挑戦して当たる回数は5回

数回の上振れや下振れに惑わされず、長い目で見たときの成功回数に目を向けると確率計算の良さを感じられるかもしれません。

成功を引き続ける上振れも成功確率がより高い方に挑戦する方が狙えます。大会等で勝ち上がるには上振れ運も重要で、その運を呼び込む準備として確率計算をデッキ構築に取り入れるのは意味のある行為だと思います。

また、「結局は実力でしょ?確率計算とかあんまり意味なくね?」という方もいらっしゃいます。

確かに、入念に確率計算された素晴らしい構築でもプレイングが伴わなければ価値が発揮されませんが、私は勝利に必要な要素を以下のようにイメージしています。

構築 × プレイング × 相性 × 精神力 × 時の運 > 相手



この考え方ではプレイング(実力)と構築は独立した要素で、その両方をそれぞれ高めることに別々の価値が生じます。強くなることを目指すなら他の成長させることが困難な要素ではなく、学習により成長可能な構築とプレイングの両方を追求するのが大事なのではないかと私は思います。「人事を尽くして天命を待つ」が良いですね。

❷ カードゲームへ確率を応用する

確率をカードゲームへ活用するために必要なステップは3つあります。

①ㅤ確率を求める条件を考える

②ㅤ確率計算を実行する

③ㅤ計算結果を自分なりに解釈する

多くの確率上級者はこの流れを無意識に繰り返しており、確率に馴染みの無い方はこの流れから外れる傾向にある気がします。上記①〜③の流れを意識することで、より有意義な確率の活用が出来ると思います。

②は主に数学の話になってしまうので、ここでは①と③についてのみ少し触れます。

①ㅤ確率を求める条件を考える

確率活用のスタート地点です。まずはいくつか具体例を紹介します。

・初期手札に初動札が来ない(事故)

・初期手札に下級モンスターが来る

・初期手札に特定の札1枚が来る

・初期手札に特定の札2枚が同時に来る

・初期手札から理想的な動きが出来る

・初期手札から最低限の動きが出来る

・初期手札から幅広い動きを選択出来る

・初期手札に防御札・妨害札が来る

・次のターンに特定の札が引ける

・次の相手ターンに特定の札を引かれない

「初期手札~」と始まるものはデッキ構築の際に意識する条件で、他は実践の中で想定する条件です。前者はカードゲームの種類やデッキテーマによって、初期手札ではなく開始から数ターン目という条件で考える方が理に適っている場合があります。後者はデッキリソース管理や相手のデッキ構築予測などを組み合わせつつ暗算するという高等技術が要求されます。この記事では前者についての紹介を進めていきます。

上でくじ引きの話をしましたが、「確率を求める条件を考える過程」は「くじ引きの当たりを自分で設定する過程」と言えます。ここで重要なのは、自分で設定する当たりの価値に違いがあることです。上の具体例の中で見ると『理想的な動きが出来る』は『最低限の動きが出来る』よりも価値が高いです。

また、当たりを設定したり、当たりの価値判断を正確に行ったりするには、下記のような能力が要求されます。

・採用価値のあるカードの探索力や知識

・採用カードのテキストを理解する能力

・複数カードの効果を組み合わせる応用力

・最終盤面の強弱を客観的に評価する能力

つまり、数学能力だけではスタート地点に立てず、これらのカードゲーム特有の能力や知識が必要となります。より有意義な確率議論を行うためにはこれらの能力を成長させなければいけません。

③ㅤ計算結果を自分なりに解釈する

どうにか計算処理を終えた後は、得られた結果を解釈する必要があります。例えば「ある動きを実現可能な初期手札が来る確率は70%だ!」と計算しただけで終わってしまうと、ただ計算して答えを出す行為に満足な状態に近いです。

先程少し説明したように、『自分の設定した当たりの価値に違いがあること』を意識すると、より進んだ思考が可能です。

~ 例 ~

理想的な動きが可能な初期手札を100点

最低限の動きが可能な初期手札を80点

事故や、ほとんど動けない初期手札を10点

「初期手札にこんな感じで価値の違いがあるかもしれない。それぞれ確率計算してみるか…」

計算結果

20%で100点

70%で80点

10%で10点

「理想の動きが20%では環境トップシェアのデッキに力負けしそうだ。採用枚数を考え直すか…」⇒ 再試行へ

このように大体で良いので点数を付けて考えると、理想的な確率バランスを検討することが出来ます。理想の確率バランスは必ずしもひとつではなく複数種類あると思うので、具体例をいくつか紹介します。

構築A

60%の確率で100点

30%の確率で50点

10%の確率で10点

⇒ 理想ムーブを積極的に狙うタイプ

構築B

40%の確率で100点

45%の確率で80点

15%の確率で10点

⇒ 理想の動きも狙いつつ保険も用意するタイプ

私はこれらの確率バランスに近いデッキが好きです。人によって好みが分かれる部分なので、性格にあったバランスを目指すのが良いかなと思います。

構築C

50%の確率で100点

50%の確率で80点

⇒ 安定を目指すタイプ

一見めちゃくちゃ強そうですが、理想の動きを100点と「自分で設定する」場合はデッキ次第で100点の強さが違ってきます。構築Cのタイプは他のデッキよりも100点が弱くなければ作れないことが多いです。

作ったデッキの100点の動きをしっかり評価せず構築Cタイプを目指すと、安定だけが取り柄の動きが弱いデッキが完成します。

ある程度100点が強い状態で構築Cタイプを目指せるデッキは環境で活躍できます。先程述べたように、数学だけではなくカードゲーム能力を活用して、環境で通用する100点かどうか見極めましょう。

また構築Cタイプで注意が必要なのは、テーマ本来の力を発揮しきれない構築になりがちなことです。「過度な安定=同じことしか出来ない」であり、構築や動きを読まれやすいだけでなく対応力の幅が狭くなっている場合もあります。


いくつか構築タイプを紹介しましたが、環境デッキに共通しているのは事故率がそれなりに低いことかなと思います。事故率は特に連勝を必要とする場合に意識する必要がある要素です。

例えば5連勝したいと考える場合、事故率20%と10%では以下のような差があります。

・事故率20%で5回連続事故しない確率

 80% × 80% × 80% × 80% × 80% ≒ 33%

・事故率10%で5回連続事故しない確率

 90% × 90% × 90% × 90% × 90% ≒ 59%

事故しない時に必ず勝てる訳では無いので、連勝を狙うなら「連続非事故率が高く、事故でない時の動きが十分に強いデッキ」を意識して組むと良いと思います。事故の定義は人それぞれ、デッキそれぞれです。何を事故とするかも大事ですね。

また、初手の事故率低下のみに執着して中期戦~長期戦に必要な札を省き過ぎると序盤だけしか強くないデッキになってしまいます。時には安定を犠牲にする判断も必要です。

例えば初期手札には来て欲しくないけれど、中~終盤デッキに眠っているとサーチ先の選択幅が広がり、条件が整っている時には強力に機能するカードもあります。このような札の採用を前向きに検討するなら、採用枚数を極力減らしつつデッキ枚数を調整することで、初期手札に入る確率を下げるという方法もあります。

カードごとの採用価値をよく考え、採用理由や採用枚数を明確にするための補助手段として確率を活用するのが良いのかなと思います。

以上のように、カードゲーム能力を駆使しながら得られた確率計算の結果を自分なりに解釈し、「採用理由/枚数の検討&構築調整 ⇒ 再試行」を繰り返すことでデッキの完成度を高めていくのが確率活用の基本だと思います。もちろん実践で感触を確かめるのも大事で、好感触を得られると確率に対する納得度が高まり、どの程度の確率なら自分が満足出来るかも掴めてきます。確率議論と実践の両方をバランスよく進めましょう。

❸ 確率表の紹介

ここまでしっかり読み進めて確率活用の心構えが出来た方もそうでない方も、薄々感じていらっしゃると思います。

確率計算、めちゃ面倒では?

まじで面倒くさいです。一部の数学を狂気的に愛している人は楽しくやっていますが…

自分は楽をしたい人間なので、計算の過程を極力減らそうと思いました。幸いなことに表計算ソフトの嗜みがあったので、それを利用して早見表が作れないかと閃きました。

↓↓ツイートから画像取得可能です↓↓

画像取得

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閃いてから10分で完成…なぜもっと早く作らなかったのか…

これは遊戯王デュエルリンク専用となっていますが、計算式いじれば他のカードゲームにも応用可能です。(詳しくは ❹ で)

見ただけでわかる方もいらっしゃると思いますが、上のデッキ枚数に対して横の採用数で特定の札を入れた時に、上に書いてある条件を満たす確率を各マスに表示しています。

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① 一枚以上来る確率

初手率早見表その1

初手率早見表その2

私はこれを一番よく使います。ある札を x 枚デッキに入れた場合に初期手札に入る確率を調べられます。「防御札」「初動札」「序盤で引きたくない札」など特定の役割を持つ札を沢山デッキに入れることもあるので、投入枚数を15まで表示しています。

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② 1枚だけ来る確率

初手率早見表その3

初手率早見表その4


序盤に2枚以上引きたくないカードがある時はこちらも確認します。

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③ 2枚以上来る確率

初手率早見表その5

初手率早見表その6


上ふたつの表の引き算で作った表です。2枚以上引きたいカードを考えるときにチラ見します。

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④ 2枚セットが来る確率

初手率早見表その7

初手率早見表その8

最近作った優れものです。2枚セットで来ると強い動きが出来るようなカードを何枚ずつ採用するかを見たい時に超便利です。上の画像は20枚デッキ用の表示ですが、スプレッドシートのパラメーターを変更することで別のデッキ枚数の表も作成可能です。OCGや他のカードゲームでも役立つかも。

パラメーター表

*以下エクセルファイルとなります。

*カードゲーム用確率計算シート(クリックしてダウンロード)

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それぞれ先攻・後攻両方の確率表を作っていますが、両方を利用することでより実践的な確率を求められます。余談になりますが、先攻と後攻で要求ハンドの差が大きいと構築が大変です。先攻理想形の実現率と後攻理想形の実現率に乖離が生じ、どちらも高めることが困難になります。

基本的に先攻理想形が弱いデッキやテーマは勝率面で安定を得られず、環境から淘汰されます。札ごとに「先攻で役割を果たすもの」「後攻で役割を果たすもの」「両方で機能出するもの」があるので、構築の際に意識してみると良いかもしれません。以前紹介させて頂いたヴェンデットが環境で戦えたのは、先攻・後攻両方の理想ハンドがほとんど同じだったという部分も大きかった気がします。

まとめ

・3ステップで確率活用するのが大事

・数学能力&カードゲーム能力が重要

・確率は採用理由/枚数の検討を補助

・計算は確率表で楽になる

本記事のメインの話は以上となります!ここまで読んで頂きありがとうございました!

興味のある方に少しでもお役に立つ内容が提供できていれば幸いです。

おまけ ❹ 計算式の解説

以下は数学的なお話です。興味のない方はここから先は苦痛でしかないので立ち入ることをお勧めしません。

計算式さえ理解できれば、デッキ枚数・投入枚数・初期手札枚数というパラメーターの変更により、他のカードゲームへの応用が可能です。以下のスプレッドシートには式を書き込んであるので、各パラメーターを変更するとそれに応じた結果が得られます。

↓↓カードゲーム用確率計算シート↓↓*以下エクセルファイルとなります。

*カードゲーム用確率計算シート(クリックしてダウンロード)

エラー回避のためいくつか余計な関数が入っていますが、本質的にやっていることは以下で記述する内容と変わりません。

それでは以下、懐かしい数学のお時間です…

パラメーターは次のアルファベットと対応しているものとしてご覧ください。

n = デッキ枚数

x = Xの投入枚数

y = Yの投入枚数

k = 初期手札枚数

計算で活躍するのは次の関数です。

nCk : n 個から k 個を選ぶ組み合わせを計算

例 20C4 = 20 × 19 × 18 × 17 ÷ 4 ÷ 3 ÷ 2 ÷ 1

詳しくは下記のサイトに分かりやすく説明されていますので、興味のある方はご覧になってください。

コンビネーション関数について

外部リンク


Xを引く確率の計算は基本的に面倒で、Xを引かない確率の計算は簡単です。引く確率の計算はXを何枚引くかで場合分けが必要ですが、引かない確率の計算ではXを除いた札で作られる全組み合わせを上記の関数で計算するだけで済むためです。

以下では極力、引かない確率の計算を利用して行きます。


① Xが1枚以上来る確率 P1

{ nCk(n−x)Ck } ÷ nCk = P1

式の説明

全ての初期手札の組み合わせ ( A + B ) から初期手札にXが無い組み合わせ ( B ) を引くことでXを引く組み合わせ ( A ) を計算しています。注意が必要なのは、Xを引く枚数については一切考えておらず、Xが1枚以上来る組み合わせを計算しています。得られたXを1枚以上引く組み合わせ ( A ) を、全ての初期手札の組み合わせ ( A + B ) で割ることで確率 ( P1 ) が得られます。


② Xが1枚だけ来る確率 P2

xC1 × (n−x)C(k−1) ÷ nCk = P2

式の説明

x 枚からどのXを選ぶかの組み合わせ ( xC1 ) と、残りの手札をX以外の札で作る組み合わせ ( (n−x) C (k−1) ) を掛けることで、初期手札にXが1枚だけ来る組み合わせ ( C ) が得られます。これを全ての初期手札の組み合わせ ( A + B ) で割ることで確率 ( P2 ) が得られます。


③ Xが2枚以上来る確率 P3

P1 − P2 = P3

式の説明

初期手札にXが1枚以上来る組み確率 ( P1 ) から1枚だけ来る確率 ( P2 ) を引くことで2枚以上来る確率 ( P3 ) が得られます。


④ XとYがセットで来る確率 P4

{ nCk - (n−y)Ck - (n−x)Ck + (n−x−y)Ck } ÷ nCk = P4

式の説明

初期手札にXとYがセットで来る組み合わせ ( E ) を直接計算するのは難しいです。一方で、XもYも引かない組み合わせ ( H ) は簡単に計算できます。Xのみを引く組み合わせ ( F ) は、Yを引かない組み合わせ ( F + H ) から ( H ) を引くことで計算可能です。Yのみを引く組み合わせ ( G )も同様に、 ( G + H ) から ( H ) を引くことで計算可能です。

全ての組み合わせ ( E + F + G + H ) に

( F ) = ( F + H ) - ( H )

( G ) = ( G + H ) - ( H )

を代入し、式を整理することで ( E ) が得られ、これを全ての初期手札の組み合わせ ( A + B ) で割ることで確率 ( P2 ) が得られます。


以上が ❸ で紹介した表で使われている計算式のベースになっています。毎回こんな計算していると死んでしまいますね。表計算ソフトを上手く利用するとこんな計算一切せずに表が仕上がるので感動です。

本記事の内容は以上となります。重たい内容に最後までお付き合い頂きありがとうございました。



あとがき

自分が確率を抵抗なく扱えたのは高校の時に数学の授業を聞いていたおかげかなと思います。何の役にも立たないだろうと感じる勉強でも、後から恩恵を感じられることがあるんだなと学びました。将来の自分への投資だと思って、少しだけ勉強を頑張るのも良いかもしれません。


最後まで辿り着く人が少ない記事ばかり量産しそうで将来に不安がありますが、次回は自分なりの構築論について書く予定です!

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