更新日 2019年10月23日
はじめに〜『LoveLetter』は戦略ゲーではなく運ゲーか?〜
『LoveLetter』は、シンプルながらも心理戦を楽しめる名作ゲームです。お姫様にラブレターを届けるというコンセプトも非常に魅力的なゲームとなっています。しかし、友人にこのゲームを勧めたところ、「何これ、運ゲーじゃん。」と一蹴されてしまいました。私はこのコメントを聞いて悲しくなりました。確かに、運の要素の割合は、他のゲームに比べて大きくはありますが、その中でも戦略性の要素は想像以上にあります。
今回は基本的な戦略から、筆者独自の戦略まで幅広く紹介します。また、その戦略を活かして、行うことのできるブラフまで考えていきます。個人的には、このゲームはワイワイ楽しむゲームではあると思うので、どうしても勝ちたい時にお読みいただければと思います。
*当記事では「兵士」の効果により、あるカードを宣言することを「コール」と明記しています。
1.カードの有効な使用方法
①魔術師の使用方法
「魔術師」は、自分もしくは対象のプレイヤーの手札を捨て札にし、山札からカードを新たに1枚引くカードです。このカードを使う際には、自分の手札を捨てるべきか相手の手札を捨てさせるべきか悩むかと思います。この「魔術師」使用方法についてですが、基本的には相手を捨てさせることが有効かと思われます。というのは、相手が「姫」を持っている際には脱落させることができるという明確なメリットがあるためです。
自分の手札を捨てて、新たに引くという行為は、「将軍」などの使いづらいカードを捨てるという目的であれば良いかもしれませんが、通常であればそれほど大きなメリットはないと考えられます。
そのため、特別なことがない限り、相手を選んで捨てさせることで「姫」を捨てることの脱落を狙う方が良いと思われます。
②将軍の使用方法
「将軍」は対象のプレイヤーと手札を交換する効果を有しています。一見すると強そうではありますが、交換することで、相手の手札が自分に回ってきます。そのため、自分に回ってきたカードが「兵士」以外であれば、次の相手の手番で「兵士」があった場合には、コールされて脱落されてしまいます。
そのため、有効な使用方法としては、自らの「姫」を回すなどがあげられます。「姫」は捨て札にすることができないため、次の自分の手札で「兵士」があれば確実に脱落させることができます。
③大臣の使用方法
「大臣」は2枚の手札の合計が12以上であれば即座に脱落してしまうというデメリットを持つ一方で強さ8を持つカードです。正直なところ、「大臣」はメリットよりもデメリットの方が大きいため、通常であれば捨てることが一番良い使用方法かと思います。
ただし、「騎士」を持っている際には、相手が「姫」ではない限りは勝負で脱落させることができるため、「騎士」を持っている場合において、「大臣」を引いた際には、「騎士」を使って勝負を仕掛けることも有効だと考えられます。
2.状況整理から行う戦略
①カード数量から行う推定
最も基本的な戦略となりますが、カードはそれぞれ含まれている量が異なります。「姫」・「将軍」・「大臣」は1枚ずつ、「魔術師」・「僧侶」・「騎士」・「道化」は2枚ずつ、「兵士」は5枚含まれています。そのため、純粋に確率だけでいうと、「兵士」を持っている場合には、「魔術師」・「僧侶」・「騎士」・「道化」のいずれかをコールするべきだと考えられます。
捨て札を確認し、自分の手札と比較することで、残りの山札や相手の手札に何が残っているかを推定しましょう。
②将軍・大臣・姫の推定
1枚ずつしか含まれていない、「将軍」・「大臣」・「姫」に関してですがコールの優先度は変わります。結論から言うと、「大臣」をコールする優先度はかなり低く、「将軍」・「姫」に関してはゲームが進行するにつれてコールの優先度が高まります。というのは、「大臣」は手札に強さ5以上の手札が来ると敗北してしまいます。したがって、「大臣」を長く手札として保持することは考えにくく、コールの優先度は低くなると考えられます。
一方、「姫」に関しては捨てることができません。そのため、長く手札として保持されると考えられます。また、「将軍」に関しても同様で、相手に交換することで、相手が自分の手札を予測しやすくなります。そのため、「将軍」も手札に保持されやすくなるはずです。したがって、ゲームが長引けば長引くほど、「姫」や「将軍」を保持している確率は上がります。そのため、後半はコールの優先度は上がると考えられます。
③大臣を捨てた場合の推定
あるプレイヤーが手札から「大臣」を捨てた場合には、もう一方の手札は4以下となります。そのため、自らが「兵士」を持っている際には、「道化」・「騎士」・「僧侶」のどれかを宣言することが、最も効率的となります。
④騎士による勝負から推定
イ. 基本パターン
3人以上の勝負と仮定します。「騎士」でプレイヤーAとプレイヤーBが勝負する際に、一番情報が落ちるのはプレイヤーCです。プレイヤーAとプレイヤーBは秘密裏にカードの強さを戦わせますが、プレイヤーCから見てもそれぞれのカードがわかることがあります。
例えば、わかりやすい例として上記画像のような状況を仮定しましょう。プレイヤーAは「騎士」と「大臣」を持っていたため、「騎士」で勝負に出ました。しかしながら、プレイヤーAとプレイヤーBの勝負の結果では、プレイヤーBが勝利することなりました。それでは、プレイヤーBのカードはなんでしょうか。
騎士による強さの勝負でプレイヤーAの出した「大臣」に勝つことができるカードは「姫」しかありません。したがって、プレイヤーBの持っているカードは「姫」だとわかります。
もちろん、負けた側のカードの強さが低い場合には、勝った側のカードを絞ることは困難です。しかし、負けた側のカードの強さが大きい場合には、比較的勝った側のカードが何かを絞りやすくなると考えられます。
ロ.引き分けが起こるパターン
プレイヤーAとプレイヤーBが騎士を用いて戦わせた際に、たまに引き分けが起こるパターンがあります。この際には、プレイヤーAとプレイヤーBの手札は大きく3つに絞られます。その3つとは、「道化」「僧侶」「魔術師」です。そのため、兵士を有している場合には、このいずれかのうち、捨て札の中に1枚も含まれていないものをコールすべきであると考えられます。この際に優先度は「道化」よりも「僧侶」「魔術師」の方が高くなります、
まず、引き分けになるものは2枚以上含まれているものに限られます。そのため、「大臣」「将軍」「姫」は除外されます。また、デッキに合計5枚含まれている「兵士」を両者が持っていることも考えられますが、わざわざ「騎士」で勝負を行ったことを考えると、勝負を行なった側があえて強さが1である「兵士」で挑むことは考えにくいと思われます。
したがって、「道化」「僧侶」「魔術師」のいずれかとなりますが、上記のように「騎士」での勝負を選択したという点を配慮すると「道化」で勝負を行うというのは、やや考えにくいかと思われます。したがって、引き分けが起こった際には、プレイヤーA・Bの持っているカードは、「僧侶」または「魔術師」のいずれかである確率が高いと考えられます。
3.行動の側面を用いた戦略
①思考時間が短い場合のカード予測
思考時間は、このゲームにおいて一種のヒントを出すことにもつながります。それが極端に現れるのが、思考時間が短い場合です。思考時間が短い場合や、目線がカード間で動かない場合には二つの可能性が考えられます。
1つ目は、上記画像のように、一方のカードが「姫」である場合です。一方が「姫」である場合には、もう一方のカードを出さざるを得ないので、結果として思考時間は短くなります。引いたカードをそのまま出したり、手持ちカードのシャッフルを行わないなどの動きがあれば、「姫」を保持している可能性が高くなります。
2つ目は、上記画像のように同じカードを保持している場合です。どちらも同じカードであれば、選択の余地はないので、思考時間は短くなります。
このように思考時間の短さは重要なヒントとなります。裏を返せば、自らも知らないうちに相手にヒントを与えてしまっている可能性があります。そのため、「姫」を持っている場合や、同じカードを2枚持っている場合でも「悩むフリ」を行うことで、ブラフを行うことができるかと考えられます。
おわりに〜「運×戦略」が絶妙な塩梅のゲーム〜
個人的に、「Loveletter(ラブレター)」は、運と戦略が絶妙に絡み合っているゲームだと思います。主観になりますが、運7割戦略3割のイメージです。どれだけ極めていても負けるときは負けるゲームだと思います。この記事で書かれている戦略は、運以外のところをいかに埋めるかというものになっています。
このゲームの魅力は、1回のプレイが非常に早く終わるのも魅力的です。その試合は負けたとしても、すぐ次の試合に切り替えることができます。そういう意味では、やっていくうちに感覚がつかめるゲームだと思います。
また、このような記事を書いていて説得力がないかもしれませんが、このゲームは扱いとしては戦略的に考え込むゲームというよりは、ワイワイ楽しむゲームだと考えています。そのため、戦略に走りすぎて時間を使い、テンポをロスして空気が悪くならないように最低限気をつけましょう。
今回は、「戦略のない運ゲーである」という評価に対抗すべく、思いつく限りの戦略要素を列挙させていただきました。シンプルな駆け引きの魅力を、ぜひラブレターで味わってください!