更新日 2024年10月14日
皆さんはチェスのルールをご存知でしょうか。
私はチェスを初めてプレイするまでの長年、”取られた駒を使える”のが将棋で、”取られた駒は使えない”のがチェス、という認識でした。
あとはせいぜいルーク・ナイト・ビショップ・クイーンの駒の動き方が、将棋のコマでいう○○と同じ、という事を知っている程度だったのですが、
その程度の知識で”ルールくらいなら分かっている”と思い込んでプレイしてみたところ、想定と違う自体が次々と起こったのを今でも覚えています。
そこで、ここではチェスのルールを特に”将棋”との違いにもフォーカスしながら説明していきます。
チェスをやったことないけど多分ルールは知っていると思っている方、特に将棋だけやったことあるという方!もしかするとそのルールは、知ったかぶりになっているかもしれません!
駒の動き方
チェスにはキング・クイーン・ルーク・ビショップ・ポーン・ナイトの6種類の駒があります。
まずはそれぞれの駒の動きをおさらいしましょう。
チェス | 将棋 | 動き方 |
---|---|---|
キング | 王 | 全方向に1マスすすめます |
クイーン | 龍+馬 | 縦横斜めに好きなだけ進めます |
ルーク | 飛車 | 縦横に好きなだけ進めます |
ビショップ | 角行 | 斜めに好きなだけ進めます |
ナイト | 桂馬+ | 桂馬と同じ動き(前に2マス・横に1マスの場所への移動)が全方向にできます |
ポーン | 歩? | 前に1マス進めます。敵陣まで進むとプロモーション(後述)ができます |
初期配置
初期配置は白と黒では違います。第一列は外側から順にルーク・ナイト・ビショップと並ぶところまでは一緒ですが、クイーンとキングは白と黒が向き合う様におく必要があります。白の場合はクイーンが左、黒の場合はクイーンが右となります。チェスでは盤面が白黒になっているので白はクイーンを白に置く、黒はクイーンを黒に置く、と覚えても構いません。
*頭文字のみ表記
<白の並び順>
ポ | ポ | ポ | ポ | ポ | ポ | ポ | ポ |
ル | ナ | ビ | ク | キ | ビ | ナ | ル |
<黒の並び順>
ポ | ポ | ポ | ポ | ポ | ポ | ポ | ポ |
ル | ナ | ビ | キ | ク | ビ | ナ | ル |
プロモーション
ポーンは敵陣地まで進むとプロモーションと言ってクイーン・ルーク・ビショップ・ナイトの好きなどれかに変身することが出来ます。将棋の場合、歩は”と金”にしかなれませんがポーンは何にでもなれます。その代わり、プロモーションはポーンの特権でルーク・ビショップ・ナイトはプロモーションを出来ません。
基本的には最強の駒であるクイーンにプロモーションしますが、クイーンに出来ない動きの出来るナイトや、後述するドロー回避のためにルーク・ビショップに変わる事も稀にあります。
私がチェスを初めてプレイするまで知っていたルールは、実は上記のところまでです。しかし、チェスのルールは駒の動き方と初期配置だけではありません。この他にも抑えておくべき非常に重要なルールがあります。それは
1.ポーンの動きの特殊性
2.一手で二つの駒を動かせる:キャスリング
3.チェス特有の勝敗条件:ステイルメイト
の3つです。
特に1で挙げたポーンの動きは非常に特殊で、”チェスのポーンは将棋の歩とは全然違う!”という事をしっかりと把握しておく必要があります。これを知らずしてプレイをしてしまい大恥をかいてしまわない様にしっかり把握しておきましょう!
*ここからは当時の私の体験談に沿って紹介します。
ポーンの動き その1:ポーンは最初だけ2マス進める
まず私は真ん中あたりのポーンを1マス進めました。
後手の相手はポーンをなんと2マス進めました。
”いやいや、初っ端から露骨にイカサマし過ぎでしょw?”
と早速プレイに待ったを入れたのですが、全く問題はありませんでした。
ポーンは初期位置からの移動の場合のみ、2マス進むことができます。
ポーンの動き その2:ポーンは前のコマを取れない
相手のポーンが詰めてきました。私は当然のごとく”同歩”と同じ感覚でポーンを取ります。
ここで今度は相手プレイヤーから待ったが入ります。
”君こそイカサマするなよ”と、ごもっともです、すいません笑
ポーンは歩と違い、前にコマがある場合は前に進むことが出来ず、その駒を取ることが出来ません。
ポーンの動き その3:ポーンは斜め前なら相手のコマを取れる
ポーンが敵を目の前にして戦うことの出来ない無能な駒だと分かって唖然としていると
今度は私のポーンが相手のポーンに取られました。しかも、ポーンが斜めに動いたのです!
ポーンは相手コマを取る時だけ斜めに動いて取ることができます。
当然、それを知らない私は奇襲を受けた様な衝撃が走ります!
ポーンの動き その4:ポーンのプロモーションは最終列まで到達した時
将棋では相手側の3列目=歩が並んでいた列に到達した時点で”成る”ことが出来ます。
これも同じだと思っていたので相手のポーンがあった初期位置、つまり2列目に到達して私はプロモーションをしようとしました。
もちろん、これも止められました笑。
プロモーションが出来るのは、相手陣の最も奥まで到達した時です。
つまり、2列目では出来ないのです。
ポーンの動き その5:アンパッサン
またもや私のポーンが奇襲を受けました。謎の暗殺事件です。
私のポーンは敵のコマに触れられることなく殺されてしまいました。
実はポーンは初期位置からの最初の移動は2マス進めるのですが、2マス進んだ場合はデメリットとしてその1マス後ろに敵のコマが来ると取られてしまうのです。(これをアンパッサンと言います)
特に上記の5点は将棋の”歩”とチェスの”ポーン”では大きく違うので、プレイの際はしっかり覚えておく必要があります。
一手で二つの駒を動かせる:キャスリング
チェスでは唯一、一手で二つの駒を動かせる手が存在します。それがキャスリングです。
*一手でルークをビショップの初期位置に、キングをナイトの初期位置に一手で移動させる事ができます。
将棋では駒を一つ一つ動かしながら櫓や穴熊の様な囲いを作っていきます。しかし、キャスリング(=入城)を用いることでルークとキングの場所を入れ替える様に同時に動かし、迅速に囲いの中に入れることができるのです。
相手プレイヤーがキャスリングしたのを見て、私もキャスリングをしようとします。
ですが時すでに遅し、”君はキングが動いてるからキャスリング出来ないよ”とまたもや止められてしまいました。
そうしてようやく私は、チェスと将棋は全然別物や、、、と理解し、完全初心者として身の程をわきまえたのでした。
<キャスリングするための条件>
キャスリングは無条件で出来るわけではなく、使用には条件があります。
1. キングにチェック(=王手)がかかっていないこと
2. キングとキャスリングするルークが一度も動いていないこと
3. ルークとキングの間に駒がなく、敵の駒にも狙われていない
チェス特有の勝敗条件:ステイルメイト
チェスには”ステイルメイト”というルールが存在します。これは、プレイしていく内に駒がどんどん減っていくチェスならではのルールです。
それは、”どちらかのプレイヤーが全く駒を動かせない状態となった時、そのゲームはドローとなる”という事です。
これは非常に重要なルールで、”圧倒的優勢であっても間違えてステイルメイトの状況を作ってしまうと、勝てる試合がドローになってしまう”という事がよく起こります。
ですので、絶対に勝ちたい場合にはステイルメイトが起こらない様に攻める必要があり、逆に圧倒的劣勢でもステイルメイトを上手く使えばドローに持ち込む事が出来るのです。
以上、いかがでしたでしょうか?
将棋とチェスは駒の動き1つ1つは似ています。将棋と違って取ったコマを利用することは出来ませんが、チェスには将棋と違って例外的なルールが多数存在します。
これらのルールを知らずして”チェスのルールを知っている”とは言えません。チェスを本当は知らなかった方の少しでも気づきになれば幸いです。