【人狼学基礎理論】なぜグレラン・霊指定をするのか。【基礎科目】

更新日 2019年10月10日

はじめに~当たり前のことを真面目に考える~

こんにちは、いとはきです。

皆さんは、人狼ゲームを楽しんでいますか?

人狼学基礎理論では、普段当たり前に行っている行為を、論理的に解説することを目的としています。例えば、グレラン霊指定などの進行は、人狼ゲームでは慣行となっています。しかし、このような進行の本質を説明できる人はほとんどいないのではないでしょうか。言葉ばかりが先行し、よくわからないけどみんながやっているから自分もやる、という方が多いかと思われます。

今回は、初日の処刑方法として代表的な事例である、グレラン霊指定に焦点を絞って解説していきます。グレランとは、占い師に占われておらず、かつ、役職でもない位置からランダムで処刑する対象を決める方法をいいます。一方、霊指定とは、霊能が確定している段階で霊能により処刑対象を指定してもらう方法をいいます。人狼を一度でも経験された方であれば、このような処刑方法を行ったことはあるかと思います。

代表的な方法である、この二つが用いられるのはどのような理由があるのか、徹底的に解説していきます。

 

※前提とレギュレーション(ルール)

今回参考にするのは、主流になっているアプリ人狼である『人狼ジャッジメント』『人狼殺』の二つです。今回は、主に最も一般的なルールである9人村と11人村を考え、第3陣営の存在は省いて基本配役のみを想定します。基本配役は、村人・占い師・霊媒師・狩人・人狼の構成を指します。

また、記事の1部ではアルティメットルールと呼ばれる13人村の形式も引用していますが、自由度が非常に高くなるため、詳しくは別の記事で説明します。




1.グレランや霊指定を行うのはなぜか?

まず初めに、グレラン霊指定といった進行が、なぜずっと同じように取られているのかについて説明します。実は、これらの方法による進行は、必ずしも完璧な方法であるというわけではありません。

メリットのみならずデメリットも同様に存在します。では、なぜ、人狼ではこれらの方法が繰り返し取られているのでしょうか。

 

それは、決まった進行方法を取ることで時間を節約し、村の混乱を防ぐためです。人狼は、限られた時間の中で議論を行うゲームです。そのため、円滑なコミュニケーションを行うことが必要となります。しかし、進行方法を議論の初めに決めるのは非常に時間と手間がかかります。最悪のケースとしては、どうやって処刑する人を決めるかという議論だけで一日が終わり、人狼陣営側に投票先を合わせられてしまうということもあります。このように、進行方法をその都度決定することで、時間が多くとられてしまいます。

そこで、人狼最初期の方々は、それぞれのケースにおいて無難な方法を考え付きました。それが、グレラン霊能指定といった進行方法です。決して万能な方法というわけではありませんが、多くの場合で広く使えることから次第に普及していきました。そして、本日のように、よくわからないけど言葉だけが先行するという状況に陥っています。

それでは、グレラン霊能指定にはどのようなメリットがあるのでしょうか?




2.グレラン進行のメリットは?

グレランが行われるのは、初日に占い師が2人現れ、霊能が確定した場合です。また、前提条件として、投票先が見える設定になっていることが必要です。『人狼ジャッジメント』の初心者村では、投票先が見えません。そのため、後半で説明される霊能指定の方法が多く取られます。

また、霊能が2人出た場合は、霊能者を全て処刑する霊能ロラ進行、占い師が3人出たら占い師を全て処刑する占いロラ進行が基本となります。このような際にも、グレランは行われないこととなります。このケースについては、次回以降がありましたら解説いたします。

それでは、グレランはどのようなメリットがあって行われるのでしょうか。以下では、グレランのメリットを要素ごとにまとめていきます。

 

①リスクを取らずに安定した進行をとることができる。

グレランの特徴は、初日の占い師2人の真偽について確定させないことがあげられます。各占い師に投票しないことで、誤って本物の占い師に投票するといった事態を防ぐことができます。また、各占い師が初日に人間だと占った先にも投票しないことから、どちらが本物であったとしても正常に進行することができるという意味で、安定した進行であるといえます。ある意味、決断の先送りともいえますが、確実に明日へとつなげることができるという点では、優れた方法といえます。

②投票結果を情報として落とすことができる。

グレランの特徴としては、グレー位置にいる市民が誰を疑っているのかという情報を、投票先から見ることができる点があげられます。基本的には、狼は仲間の狼に投票したくないと考えます。一方、村人は怪しいと思った人物に投票することとなります。このような状況下でグレランを行うと、ライン考察(狼同士のつながりをもとにした思考方法)をすることができるようになります。

例えば、初日のグレランによって狼が処刑された場合において、翌朝霊能者が処刑された人物が狼であったことを伝えることができたことを考えましょう。このとき、狼が狼に投票したくないという心理を持っていると考えると、狼であった処刑された人物に投票していた人々は、非常に市民らしくなることが考えられます。反対に、狼以外に投票していた人物は非常に人狼らしくなるはずです。

グレランは、投票先からの情報量を得ることができるという特徴があります。もちろん、狼はこれに対して身内切りライン切りと呼ばれる、あえて自分の仲間の狼に投票することも考えられます。そのため、投票からの情報がすべて正しいというわけではありませんが、確実に情報は落ちると考えられます。

③村同士が話さなければならない雰囲気が生まれる。

グレランは、村の中で互いの人狼要素を指摘し合う雰囲気を作り出すことができます。基本的に、人狼は喋れば喋るほど、発言にほころびが出ると考えられています。同じ程度の実力の人間が、同じ発言量で話すのであれば、人狼陣営側の方が不自然な発言がでるとされています。そのため、村が意見をぶつけ合うような環境形成が重要となります。

また、発言量が増えることにより、翌日以降に向けて情報を落とすことができます。村人には一定の迷いや一貫性がありますが、人狼はその場しのぎで取り繕ったり発言が大きく矛盾する傾向にあるとされています。そのため、終盤に狼を探す際に初日の発言を見返してみるとがカギとなる要素があることも考えられます。




3.霊指定のメリットは?

初日に霊能による指定が行われるのは、主に投票先が見えない場合です。この進行をよくみるのは、人狼ジャッジメントの初心者村や誰でも村です。特に、狩人が連続ガードできるルールとなっている場合には、回避進行(狩人が指定された場合には、狩人であることをカミングアウトして別の人を選択してもらうこと)が多くとられます。そのため、仮指定(仮に怪しい村人を2人選んで喋らせる方式)を行った後に本指定を行い、本指定されたプレイヤーが狩人である場合は回避するという進行がよくみられます

それでは、霊指定にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

①人狼陣営の票合わせを避けることができる

投票先が分からないルールグレランを行った場合、人狼陣営による票合わせが行われることがあります。村人陣営の票は合わせることができないため、進行役となるプレイヤーによる指名がなければ票はバラバラになってしまいます。また、誰が誰に投票したかは明らかにならないことから、人狼陣営は票合わせを行っても何のデメリットはありません。そのうえ、昼に人狼チャットが可能な場合などは、誰に票をいれるかの打ち合わせが可能になるので、票合わせの危険性は上がります。

そこで、霊能による指定を行うことで、村陣営の票がばらけるのを伏せ、票合わせ行うことを避けることができると考えられます。

②発言に注目することができるので落ち着いて精査しやすい

グレランの場合は、グレー位置のプレイヤーは数多くいます。また、自分も対象となっている場合には、自分も発言する必要があります。そのため、プレイヤーの発言にすべて目を通すことは困難で、精査が難しくなってしまいます。

霊能指定による場合には、プレイヤーは発言する側とそれを評価する側に分かれます。基本的に、仮指定された人物は、仮指定された人物同士で殴り合い(お互いの狼要素を指摘し合うこと)を行います。一方、それ以外のプレイヤーは、仮指定された人物を精査する側に回ります。このように、精査すべき人物が明確になることで、そのプレイヤーの発言に注目することができると考えられます。



③指定者と人狼陣営との繋がりを見ることができる

また、霊指定のメリットの一つとして、仮指定されたプレイヤーとされていないプレイヤーの会話から、人狼同士のつながりを考察することができることがあげられます。

仮指定されたプレイヤーが2人いた場合において、そのプレイヤーのいずれか一人が人狼であるときを考えます。このとき、仮指定されていない人狼は、仲間を擁護することで本指定を回避させようとすることを試みる傾向にあります。これは、仲間に向けられた仮指定が本指定となってしまえば、処刑されてしまうと考えるためです。霊ロラは、このようなプレイヤー間の発言を促すことで、ライン考察(狼同士のつながりをもとにした思考方法)をする中で有用な情報を得ることに寄与すると考えられます。

もちろん、グレランと同じく身内切りやライン切りを行い、味方の狼をあえて突き放すような言動もみられることから、完全に情報を信用することはできないかもしれません。




おわりに~決まった進行はつまらない?~

決まった進行ばかりをとることは、退屈なことかとも思われるかもしれません。しかし、見方を変えれば、進行方法を固定させることで、プレイヤーの会話に焦点を当てることができるという効果もあります。人狼の本質は、コミュニケーションです。そこで、人狼をより楽しむための前提条件として捉えることもできるかと思います。

もし、決まった進行に飽きてしまったのであれば、13人村のアルティメットルールをオススメします。決まった進行もあるかもしれませんが、作戦提案を行える可能性もあります。しかし、メリットとデメリットを即時に提案し、かつ、それが他のプレイヤーに認知されなければ、その作戦提案は実行されない可能性があります。新しい作戦は、なかなか受け入れられないものです。もし、作戦を提案するのであれば、プレゼンテーションスキルも要求されるかもしれません。

対面人狼や身内同士で行うことができる村であれば、新たな作戦にも寛容かもしれません。もし、決まった進行が嫌だという方は、このような場所から始めてもいいかもしれませんね。



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