【人狼エッセイ5月号】"メタ"はなぜ嫌われるのか?【いとはき】

はじめに~メタ推理やメタ考察はお嫌いですか?~

こんにちは、いとはきです。今回は、初心者や勝ちに貪欲な方が行ってしまいがちな“メタ”要素と、それに対するメタ推理・メタ考察について議論していきます。はじめに、“メタ”とは一般的に「話し手や聞き手が、本来感知しえない領域に触れること」を指します。

例えば、漫画のキャラが、本来知りえないはずの漫画の作者の身の上話を話し出したり、非現実的な現象に直面したとき「これは漫画の世界だから不思議ではないよね!」と自身が漫画の世界にいることを前提に話を進めるなどは、メタ発言とよばれます。

当記事では、このメタという言葉を用いていきますが、メタ「本来知らないはずのこと」と定義しましょう。人狼では、このメタがきっかけとなって、ゲームのバランスが崩壊してしまう恐れがあります。このことから、メタを用いた発言であるメタ発言や、メタ発言を受けての推理や考察である、メタ推理やメタ考察を行うプレイヤーは人狼ゲームにおいて非常に敬遠される傾向にあります。

当記事では、人狼におけるメタ推理・メタ考察について明らかにしたうえで、“メタ”の是非について考察していきます。




1章.人狼におけるメタ推理・メタ考察とは?

人狼における代表的なメタ要素としては、機能メタ人物メタが存在します。1章では、それぞれのメタの特徴について考えていきます。

1-1.機能メタ

機能メタとは、ゲームの機能上、ある特定の者しか知りえない要素を用いて、信用獲得を行おうとする行為です。ここでは、占い師の事例を用いて、対面人狼とアプリ人狼を想定してみましょう。

 

1-1-1. 対面人狼における機能メタ

 

まず、対面人狼では、占い師は夜の時間に起きてGMのジェスチャーをみて占い先を確認します。GMの存在はゲームの進行上欠かせないため、人狼ゲームにおける機能としての役割を持ちます。この場合における機能メタを用いた発言とは、次のようなものを指します。

例1:「私真占い師だから知ってるけど、結果いうときGMさんニヤついてたよ。」

状況と要旨:自分は真占い師であるから、占い先の確認の際に、GMの顔を見れていたことをアピールしている旨の発言です。ゲーム上欠かせないGMの存在を機能メタとして用いています。

例2:「昨日占い師の時間長かったでしょ?それは、私が長考してたからだよ。」

状況と要旨:偽占い師が襲撃又は処刑された前提で、自分が真占い師で生存していました。この際に、あえて占い先の検討の際に長考することで、自分の生存をアピールしている旨の発言です。ゲーム上欠かせない、占い先の検討時間を機能メタとして用いています。

 

 

1-1-2. アプリ人狼の場合における機能メタ

アプリ人狼の際にも、以下のような発言は機能メタに該当します。ここでは、人狼ジャッジメントを想定しています。

例1:「僕の画面に、マイクは人狼ではないと表示されています。これは、僕が占い師だからだと思います。」

人狼ジャッジメントでは、機能として、真占い師の画面にしか占い結果は表示されません。そのため、このことを利用したメタであるといえます。

例2:「ごめん!寝てて占えなかったわ!笑」

人狼ジャッジメントでは、夜の間、占い師が誰も選択しなかった場合には占い結果を残すことはできません。基本的に占い師は占い結果を残すことが暗黙的に定められていることから、このような行為をするのは真占い師ではないかと思わせる機能メタであるといえます。

 



1-2. 人物メタ

人物メタによる考察は、その個人の性格や動きを事前に把握し、その要素に基づいてその人を精査することを指します。例えば、以下のような例が人物メタに該当します。

例1:「この人は、初心者だから嘘をつけないでしょ。だから、この人は本物だと思う。」

占い師が2人カミングアウトした場合を想定しています。この発言はその占い師の精査をしている第3者によるものです。当発言は、人物メタのうち、初心者メタに該当するものです。初心者であるなら、嘘のつき方が分からないはずだから、占い師がいたとしても、この人は本物であるという旨の発言となっています。

 

例2:「あなたって狼の時、口数少なくなるよね。今無口だから狼だと思う。」

これは、既に同村したことのあるプレイヤーと、再びゲームする際にみられる可能性があるメタです。プレイヤーによっては、口調や発言量が自分の所属する陣営によって異なることがあります。その癖を指摘し、その人が人狼であるのではないかと考察する旨の発言となっています。

 

2章. メタ発言・考察はなぜ嫌われるのか?

メタを用いた発言は、ある意味、真であるからこそできるともいえます。しかし、このような発言は、状況によっては、非常に毛嫌いされる傾向にあります。その理由は明白であり、発言以外における信用獲得が可能となるためです。人狼ゲームにおけるバランス調整は、メタを考慮していません。そのため、メタが入ると、ゲームのバランスが大きく変容することとなります。

例えば、1章で用いた占い師の機能メタを考えてみましょう。大前提として、人狼ゲームにおける占い師は、発言や考察を通じて、自分の真偽を村人に伝える役職となっています。そのため、人狼陣営側の偽占い師はもっともらしい嘘をつくことで、自分が真占い師であるように振舞うのが定石となっています。

しかしながら、真占い師がこのような機能メタを用いてしまうと、“ゲーム外の要素”によって真占い師が信用を獲得してしまいます。そのため、結果としてゲームのバランスが大きく壊れてしまうのです。

全ての人狼ゲームのプレイヤーがそうとは限りませんが、ほとんどのプレイヤーは”人狼ゲーム”を通じて、勝利したいと考えているはずです。目的なく、ただ勝利することを望むのであれば、メタやマナーなど関係ありません。しかし、人狼プレイヤーの求める勝利は、そうではないと考えています。私たちは、人狼ゲームでしか味わえない考察や心理戦を通じて、自分の陣営の勝利を目指しているのではないでしょうか。

もし、ただ勝つことを望むのなら、ジャンケンの方が時間もかからないし、試行回数も稼げるのではないでしょうか。わざわざ多くの人間が時間やお金をかけて、一つの場所に集まる必要はないと考えられます。

メタ考察・メタ発言は、ただ勝つためであれば有用かもしれませんが、それは人狼ゲームを行う上では障害になってしまうと考えられます。



 

3章 メタ要素を防ぐことは困難

メタ要素を避けた方がよいということを述べましたが、メタ要素を完全に防ぐことは、非常に困難です。例えば、2章の後半で述べた初心者メタは、悪気なく無意識的に生じる可能性があるからです。人対人で行われるゲームである以上、自分の意思に関係なくこのようなことが行われてしまう可能性はあります。そのため、メタを防ぐ心がけをしていても、他人によってメタ要素が混じる可能性があります。

このことから、ゲームによっては、メタでその人が市民のように見えたり、メタでその人が狼のように見えたりすることがあるかもしれません。しかし、ここで気を付けなければならないのは、それを口に出してはいけないということです。人狼は発言された情報を基にして、考察・推理するゲームです。そのため、頭の中で思ったメタ要素を口に出した瞬間、ゲームの中にメタ要素が介入することとなります。逆説的に考えると、メタ要素を感じていたとしても、それ自体や、そこから派生する考察・推理を口に出さなければゲームは正常に行われることになります。

もし仮に、同じ村にいるプレイヤー全員が、そのメタ要素に気づいていたことが予想できたとしても、それを口に出さないことをオススメします。確実に、ゲームのバランスは崩壊し、人狼ゲーム自体が退屈になってしまうからです。メタ要素の介入はできるだけ避け、人狼ゲームを人狼ゲームとして楽しむことを目指しましょう。

 

4章.メタが許されてもいい場所・状況

本文の中では、なるべくメタ要素の介入を防ぐべきであるという主張をしてきました。しかし、個人的な意見として、特定の状況において、特定のメタが許されてもいい場所・状況が存在すると考えています。その特定の状況とは、以下のようなものです。

・全ての参加者プレイヤーと面識があること(対面・チャット人狼問わず)

・全ての参加者プレイヤーが、軽度のメタを用いることに抵抗がない場合

端的に述べれば、皆が了承していれば、メタを使ってもよいということになります。例えば、ほのぼのワイワイと対面人狼をしている際に、その人の性格や表情を基に議論を行うのは、それほど強度の強いメタではありません。

「えー、いつものと性格が違うから人狼っぽい!」

「普段めっちゃしゃべるのに喋らないから人狼でしょ!」

これらは、2章でいう人物メタに該当するものです。この種のメタであれば、人狼入門者がいる環境では、むしろゲームを盛り上げることもできるかもしれません。特に対面形式での人狼で、初めて人狼を楽しむことが多い環境では、このようなメタは積極的に用いられます。

人狼を究極に気軽に楽しむ環境では、このようなメタが周りの雰囲気を良くするのに寄与することもあります。したがってこの種のメタは、特定の場所で特定の状況であれば許容されることとなります。

しかし、裏を返せば、メタは特定の場所で特定の状況のもとでしか、成立しないということです。特に、人狼ゲームを人狼ゲームとして楽しみたい人の前で、メタを用いてしまうとその人の時間を奪ってしまうことにもつながります。メタを用いるかどうかは、状況をよくみて考えるようにしましょう。



おわりに~メタが正当化されるとどうなるか~

当記事では、メタ要素と、メタ要素を用いた考察・発言について考えてきました。当記事における意見は、筆者のいとはきの主観も介入していることから、メタについては様々な議論もあると思います。

先日、メタについての見解を示したところ、『人狼陣営もメタを用いたら対等になるのでは?』という意見を頂きました。この提言に対する個人的な意見としては、対等にはなるのかもしれないが、それはもはや人狼ゲームではないと述べさせてもらいます。議論の内容は、機能メタや人物メタに終始され、メタで信用獲得されないよう、自らもメタ要素を用いていく。それは、人狼ゲームとして破綻していると考えられます。

結論として、人狼ゲームを人狼ゲームとして楽しむためには、極力メタ要素を省くべきであり、メタ要素が介入したとしても暗黙的に推理・考察から省くべきであると考えています。この論点については、個人によって意見は異なると思いますので、ご意見・ご感想のほどをお待ちしております。

この記事が、皆様の人狼ライフをより良くするものとなれば幸いです。

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