更新日 2020年1月26日
はじめに
筆者のいとはきです。
新しいボードゲーム を他のプレイヤーと遊ぶ際に、必ず重要になるのがボードゲーム のインスト(ルール説明)です。ルール説明についてをテーマにすると考えたたとき、「たかがルール説明でしょ?」と思うかもしれませんが、非常に重要です。というのは、説明の受け手にとっては、ルール説明の理解度によって、ボードゲーム を実際にプレイする際の楽しさは大きく変化するからです。
もちろん、ゲームのルールを理解していなくとも、楽しむことができるゲームは存在します。1ゲームあたりの時間が短いゲームや、勝敗をあまり意識しないようなデザインのゲームでは、ルールをやりながら覚えても、そこまでプレイヤーの負担にはなりません。例えば、「ガイスター」や「Dixit」はこれにあたります。たとえ、失敗したとしても容易にやり直すことができたり、逆転しやすいゲームとなっています。
しかし、中重量級のボードゲーム に関しては、話が違います。中重量級のボードゲーム の楽しさはいくつかありますが、中でも「数ある選択肢の中から、自らが最適だと感じるものを選ぶ楽しさ」が、長時間で複雑なルールがあるとしても、中重量級のボードゲーム が愛される理由になっていると考えられます。その中で、選択肢が不明瞭であったり、そもそも選択肢のことを知ることができなければ、非常に狭い空間で手足を動かすような不快感を味わうこととなります。例えば、「カタン」や「アグリコラ」についてはその典型であると考えられます。
ちなみに、「わかりやすいルール説明なんて簡単でしょ?」と思っている方がいるとすれば、「相当熟練されたプレイヤー」か、自分が「ルール説明が上手いと思い上がっている悲しい方」のいずれかかと思います。ルールをわかりやすく、かつ、効果的に伝えることは非常に難解です。
今回は、ルール説明を行う際に、必ず注意して欲しい要素やコツについてまとめていきます。インストの際に、参考にしていただけると幸いです。当記事では、ルール説明を受ける側のことを、「受け手」と表現しています。
1. 声は大きく、速度はゆっくりと。
「当たり前でしょ」と思うかもしれませんが、非常に重要な要素です。中重量級のゲームは、ルール説明の要素が非常に多いため、巻いて話そうとする方が多く見られます。また、説明している時に自信がなくなると、声が小さくなってしまうこともあります。
ルールがわかるわからない以前に、そもそも聞き取れなければ話にもなりません。そのため、声を大きく、ゆっくりと話すことは基本的ですが、必ず意識した方が良い項目の一つとなります。
・ルール説明が長くなるかもしれないが、それでも「伝わること」を重視する。
・説明する側が自信を持って話さなければ、受け手は不安になる。
2. 誰にでもわかる言葉で話す。自分の常識を疑うべき。
ボードゲーム のルール説明で失敗しがちなのは、知らず知らずのうちに、相手が理解できない言葉を用いていることです。これは、自分の中では当たり前だと思っていたことが、相手にとって当たり前ではないことを忘れていることに起因します。
これは日常のコミュニケーションでも同じことですが、相手に理解されない用語を用いたとしても、相手が理解することはありません。「文脈から理解しろ」というのは話し手の勝手な押し付けであり、受け手に理解を強要するという点で言語能力の低さを露呈していると考えています。
ここで重要なのは、その用語は一般的に理解できるものなのか、それとも初見であればわからないものなのか、を常に考える。すなわち、疑うことが大事です。例えば、「1金」(1金貨の略)というワード一つとったとしても、軽く流してしまうのは悪だと思っています。会話の中で、「1金」は「いちきん」という音声に変換されます。ここでは、音声で受け取られた「いちきん」という単語を、漢字の「1金」に変換できるのは、そもそも「1金」が「1金貨」の略だと知っているからです。
初めて「いちきん」という単語を聞いた受け手の頭の中では、確かに金貨を連想することはできるかもしれませんが、ひょっとしたら混乱が生じる可能性があります。このことから、「これぐらいは分かって当たり前」のハードルを可能な限り下げることが重要となります。
・専門用語は、誰にでもわかる言葉に噛み砕く。
・「分かって当たり前」のレベルを下げる。
・相手に理解を強要するのは、自分の言語能力が低いから。
3. 質問を適宜受け付けて、疑問を受け手に残さないようにする。
ルール説明を始める際に、「僕もルール説明をはじめて聞いた時は、わからない部分も多かったんですよね。僕が説明している時に、いつでも止めてわからないときに遠慮しないですぐ聞いてくださいね。」
といったように、質問のハードルを下げることが重要だと考えています。質問を適宜受け付けるのは、最後まで質問をためておくと質問自体を忘れている場合や、そもそも次の項目が前の項目の理解を必須としている場合があるからです。そのため、ルール説明をする際に、受け手がわからないところがあれば、すぐに解決できるように対処すべきであると考えられます。
そもそも、受け手は常にルールを理解しようと必死で集中しています。その受け手に対して、さらなる不安を抱かせないように、疑問を残させないように注意が必要です。
・受け手が質問しやすい環境をつくる。
・質問は適宜受け付ける。
・受け手が「わからない状態」になるのをなるべく避ける。
4. 受け手の興味をそがない。興味を持ってくれているのはチャンス!
上記の3では、質問はその都度対応すべきであると述べました。
しかし、ときには、受け手が先にまだ話していない要素について質問をはさむことがあります。このような場合では、基本的な事項に対する理解がないため、その要素について話すのはかえって混乱を招きます。しかし、その際には「それに触れるのははまだまだ先なので、まだ待っててください」などと一蹴することは、受け手の興味を完全に削いでしまうことにもつながりかねないので、避けておいた方が良いかもしれません。
対応策の一つとしては、「その要素、面白いですよね。」「その要素、興味が湧きますよね」と前置きをおいた後、「実は、その要素は今から説明するものに深く関わってくるので、よく聞いておいてくださいね。」といった具合に、相手に共感することが重要だと考えられます。受け手にとって、ルール説明は比較的退屈なものです。その中で、受け手が興味が湧くものがあれば、それはゲームに惹かれてくれていると捉えることもできます。
そのため、受け手の興味をなるべく削がず、関心を持ってもらえたのをむしろチャンスと捉えることが重要であると考えられます。
・受け手の関心には、共感をするのがよい。
・興味は、受け手のルールの理解度と集中度を増加させる。
・受け手を、決して突き放さない。
5. 終了条件・勝利条件・基本的な動きの3つをイメージしてもらう。
ルールの中で、特に印象付けるべきなのが、「ゲームがどの時点で終了するのか。」「ゲームで勝つためには何をしたら良いのか。」「基本的な動きは何か。」の大きく3つです。
この3つがわかっていない状態でルールが進行してしまうと、結局何をすればいいのかがわからなくなってしまう場合や、何を話しているのかわからなくなってしまう場合が考えられますそのため、この三つの項目を説明する際には、特に注意を落としたり、声のトーンをあげるなど、他の項目よりもより強調して話すことが必要になります。
「何かわからないことがありますか?」と聞いた際に、「何がわからないかわからない状態」になってしまうことにもつながります。そのため、基本的なことをしっかりと伝えることが何より重要です。
・終了条件・勝利条件・基本的な動きの3つは強調して教える。
・基本がわからなければ、「わからないところがわからない状態」になってしまうこともある。
おわりに〜ルール説明は意外に難しい〜
今回の記事は、正直需要があるかどうかわからない「ルール説明をする側」に向けた記事です。今回の記事を作成するきっかけとなったのは、Twitterで中重量級のボードゲーム を「やりながら覚える」ように強要された初心者の方を拝見したためです。初心者であるにも関わらず、拡張版を含んだ重量級のゲームを、インストをやりながら覚える形式で経験者の方と行なったようです。その初心者の方は、そのゲーム自体を嫌いになってしまったようです。
もし、初心者と経験者が同じ卓を囲むのであれば、経験者側が初心者に歩み寄ることが必要です。このとき、中重量級ゲームを遊ぶ場合には、経験者は受け手に対して、ルール説明にかなりの時間を割くことは避けられないと個人的に考えています。
ルール説明の理解度は、ほぼ確実にボードゲーム の楽しさに直結します。「Board Game to Life」でも可能な限りわかりやすいルール説明を目指しておりますが、実際には口頭で説明することとなると思います。
今回挙げた五つのポイントに対しては、賛否両論あるとは思いますが、これは筆者がルール説明をするときに必ず心がけていることです。
「ルール説明がわからないから、ゲームがつまらなかった」と感じるプレイヤーを、可能な限り減らすことがで、より多くの新規ボードゲーム プレイヤーが満足しやすい環境が作り出せるのではないかと心から考えています。
ここまで記事を読んでいただきありがとうございます!
アンケートご記入のお願い
現在、「ボードゲーム を遊んだことのある方」を対象にアンケートを行なっています。
ここから分かったことについては、
ボードゲームのさらなる普及やより良い価値の提供に用いるよう邁進致しますので、
もしよろしければ回答をお願いします。
非常に短いアンケートであり、「3分ほど」で記入できるため、
もしよろしければ参加いただけると嬉しいです!