『競りゲー』と価格設定理論~MBA第7講~

更新日 2018年3月27日

『競りゲー』はお好きですか?

ボードゲームの中で、出品者と購入者に分かれてオークションのように値付けを行って売買するゲームを、『競りゲー』といいます。有名なゲームとしては、『モダンアート』や『ラー』、『メディチ』があげられます。このゲームの中で、避けられない要素が値付けです。

自分が得をするように値付けを高くする必要がある一方で、相手に購入を促すことができるくらい値付けを低くしなければなりません。現実の商品でも、商品・製品の値付けが行われています。今回はその中でも、価格設定のメカニズムについて『モダンアート』と共に説明していきたいと思います。

(『モダンアート』は少しルールが複雑なので、今回の記事では詳しいゲーム説明は省かせていただきます。)


モダンアートとは、5人の画家によって描かれてた絵画を、オークション形式で落札していき、最終的な所持金の大小を競うボードゲームです。プレイヤーはターンごとに、絵画を売る売り手側と絵画を買う買い手側に分かれます。また、買った絵画はラウンドの終了後に清算され、絵画はお金に代わります。つまり、お金を稼ぐ手段としては、大きく2つあります。絵画を売って、買い手からお金を稼ぐこと。そして、絵画を清算して銀行からお金を稼ぐことです。


このゲームでは、いったい何を軸に価格設定が行われるのでしょうか。結論からいうと、このゲームで核となるのは絵画の精算時の値段です。精算時に絵画は、市場に多く出回っている物ほど、みんなが欲しいものだと考えられるため高い値段が付きます。一方、市場にあまり出回らない物には低い値段がつけられてしまいます。この場合、緑のカードが最も高い値段が付き、青のカード黄のカードには値が付きませんでした。


それでは、なぜ需要が高い場合に価格が高くなるのでしょうか。左の図で示しているように二つの曲線、需要曲線供給曲線の交点が価格となります。おそらく、中学校や高校でこの図を見たことがあるのではないでしょうか。

さて、この図を使って今回の絵画の価格付けについて考えてみましょう。絵画需要が高くなる一方で、絵画供給はその需要の高まりに合わせて高くなるとは限りません。なぜなら、絵画は人力によって描かれますそのため、大量生産ができなくなります。これを、図で表すと次の図のようになります。

 

 

図が表すように、需要が増加すると均衡点もそれにしたがって、右へと進みます。つまり、供給が一定であれば、需要の増加に伴って価格は上昇するということがわかります。

 

 

 


絵画では少しイメージが湧かないでしょうか。身近に同じようなメカニズムで価格が決定されるものとして、転売事業があげられます。転売事業とは、『供給の少ない商品や入手の困難な商品を大量に購入し、別の購入意欲のある他者に売却する事業』をいいます。例えば、近年転売されていた商品としては、プレイステーションVRニンテンドーswitchがあげられます。

これらの商品は高価格の値付けがなされましたが、それらを購入する一定の者が存在していました。それでは、なぜこのような値付けが成立するのでしょうか。順を追って説明していきます。まず、これらのゲーム機は多くの店舗で入荷待ちになるほど供給が制限されていました。これに対して、ユーザーの需要は高まり、整理券や抽選を行うまでに至りました。そのため、価格は右方向にずれ高価格で均衡点が結ばれます。

したがって、これらのゲーム機は高い価格となります。現在は徐々に供給が安定してきたために価格が安定してきました。このように需要供給が安定してくると、価格も安定します。以上のことから、このような不思議な価格設定が行われることとなります。今回は経済学に近い論点となりましたが、社会事象について学ぶ機会となったのではないでしょうか。


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