更新日 2018年3月27日
みなさんは、協力ゲームでリーダーシップを発揮できていますか?
協力ゲームとは、プレイヤー間で協力して、ある課題やミッションを達成するゲームのことをいいます。また、リーダーシップとは組織を率いていく能力のことをいいます。しかし、協力ゲームであるにもかかわらず、プレイヤー間で意見が対立したり、進行が行き詰ることがあるかと思います。
皆さんはこのような状況下で、どのように他のプレイヤーの意見をまとめていきますか?
もしかしたら、適切なリーダーシップを取ることで、チームとしての力を最大限に発揮できるかもしれません。
今回は協力ゲームの名作であるパンデミックを例にあげて考えていきます。パンデミックとは、プレイヤー間で協力し人々が感染しているウイルスの治療薬を完成させ、ウイルスの根絶を目指すゲームです。ゲームの難易度は中級者向けであり、カタンやカルカソンヌなどの中量級ゲームに親しんでいれば、難なくルールを把握できると考えられます。
各プレイヤーは異なる役職を有し、それぞれが特殊能力を持っています。この能力を最大限に活かして、ウイルスの感染を食い止めていきます。4つの病原菌に対する治療薬を完成させると、プレイヤー全員の勝利となります。
このように、プレイヤー間でのチームワークが非常に重要になるゲームです。各プレイヤーは、自分のターンには自分で行動しますが、一つのチームとしての能力を最大限にまで高める必要があります。
この時には、どのような能力が必要とされるのでしょうか。
ここでは、リーダーシップ論の中から分かりやすいものの一つとしてPM理論を取り上げます。
①PM理論
PM理論とは、三隅二不二によって提唱されたリーダーシップ論です。
彼によれば、リーダーシップはP(Performance)『目標達成機能』M(Maintenance)『集団維持機能』から構成されます。『目標達成機能』とは、メンバーに支持を与えることで目標を達成させる能力をいいます。一方、『集団維持機能』とは、チームワークの強化に気を配り、チームとしての団結・一体感を強化する能力をいいます。以下に理想とされるリーダー像をまとめてみました。
どちらか一つ能力(PかM)を持っている場合は、リーダーとしての資質があるとされます。一方、両方の能力を有している場合は、さらにリーダーの資質があるとされます。
協力ゲームでも、重要となっていくのは解決(P)と協調(M)です。解決(P)とは、勝利条件を満たすためにどうしたらよいか考え目標を達成する能力。協調(M)とは、プレイヤー全員の団結感を維持する能力をいいます。
さて、協力ゲームでこのPM理論を考えてみましょう。
今回は仕事ではなく、協調ゲームなので少し要素が変わってきます。
おそらく上の図でいうPM・pM型のリーダーがいれば、ゲームを楽しく進められるかと思います。その一方で、pM・pm型のリーダーがいると、それほど楽しいゲームにはならないかもしれません。
PM型の人物であれば、ゲームの勝利条件達成のために何をすればいいのかをチームから引き出し、全員の勝利を目指します。おそらく、団結感を有する一方で勝利も目指す楽しいゲームになるかと思います。また、pM型の人物であれば勝利を目的にしてはいるものの、団結感を優先します。そのため、もし勝利できなかったとしてもゲーム自体の体験は楽しくなります。
一方、pm型の人物であれば、チームを成功に導く能力もチームをまとめる能力も有していません。そのため、団結感もなく、勝利も目指せなくなり、ゲームは余り充実したものにならないかもしれません。また、Pm型の人物であれば、成功に導く能力はあるがチームをまとめる能力を有してはいません。このことから、リーダーが先行し一人よがりなゲームになることがあります。協力ゲームで勝利することはもちろん重要ですが、ゲームで楽しむことも一つの目的となります。そのため、このタイプの人物は、仕事であればうまく機能しますが、協力ゲームでは有効に働かないかもしれません。
協力ゲームでは、リーダーが参加者を導いていきます。参加者は時にリーダー、時にフォロワーとなります。楽しいゲームにするために、そしてゲームで勝利するためにリーダーシップの考え方を学んでみてはいかがでしょうか?
Master of Boardgame Administration
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